出雲神話ものがたり「スサノオの誕生」

出雲神話ものがたり「スサノオのヤマタノオロチ退治」

出雲神話ものがたり 「スサノオの誕生」~「オロチ退治」編 目次

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出雲神話ものがたり 「スサノオの誕生」

スサノオの誕生

日本の国産みの神、イザナキ(男神)とイザナミ(女神)によって、日本の森羅万象が産み出されましたが、この話はまたの機会にゆずることにして、イザナミが火の神をお産みになったとき、その火のために体が焼かれて亡くなってしまいました。そして、黄泉の国へ旅立ってしまったのです。


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天の浮橋に立って、天の沼矛を指し下ろすイザナギノミコトとイザナミノミコト(『鮮斉画譜』より)

奥さんに先立たれたイザナキは、たいそう悲しんで、矢もたてもたまらず、黄泉の国へイザナミを訪ねて会いに行きました。建物の中にいるイザナミに向かって「まだ国産みは終っていない、一緒に帰って国産みをしよう」と言いました。イザナミは「私も帰りたい。もっと早く迎えに来てほしかった。私は黄泉の国の食べ物を食べてしまったのでかんたんには帰れません。しばらく待っていてください。その間、私を見てはいけませんよ」と言って建物の奥へ入って行きました。

イザナキはいくら待ってもイザナミが出てこないので待てなくなり、自分の髪に刺していた櫛の歯を一本折とって、それに火をつけ灯りにして中をのぞきに入って行きました。すると、イザナミの体は腐ってたくさんの蛆虫(うじむし)がうごめいているではありませんか。それを見たイザナキはおそろしくなってイザナミのところから逃げ出しました。

イザナミは「よくも私に恥をかかせたな」と言うと黄泉の国の恐ろしい女たちに命令してイザナキを追いかけさせました。イザナキは自分の頭に巻いていたかずらの冠を投げ捨てると、山ぶどうになって実がなりだし、それを恐ろしい女たちが食べている間に逃げたのですが、食べ終えるとすぐにまた、追ってきました。そこで、次に髪にさしていた櫛を抜いて投げ捨てると、たちまちタケノコになって生えだし、それを女たちが食べている間に、一生懸命逃げました。

すると、今度はイザナミの体にうごめいていた蛆虫どもが黄泉の国の軍隊と一緒に追っかけて来るではありませんか。イザナキは刀を抜いて後ろ手で振り回しながら、ようやく黄泉(よみ)の国(くに)とのさかいの黄泉(よも)つ平坂(ひらさか)のふもとまでたどり着きました。そして、そこに生えていた桃の実を三つ取って投げつけると、不思議に皆逃げ帰ってしまいました。

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ところが、最後に腐れてただれた体でイザナミ本人が追いかけて来たのです。イザナキは大きな岩で坂の道をふさいで、大岩の向こうとこちらで向かい合いました。イザナミは「昔のいとしい貴方よ、こんなひどいことをなさるのなら、私は貴方の国の人たちを一日に千人ずつ殺します」と怒りにふるえながら言いました。それを聞いたイザナキは、「いとしい貴女がそうするなら、私は一日に千五百人を産みましょう」と言いました。

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『古事記絵詞』よりイザナギノミコトの禊ぎの場面 このとき生まれた多数の神々と共に描かれる(山邊神宮蔵)

ようやく葦原の中つ国に帰ってこられたイザナキは「黄泉の国で、腐れただれたイザナミに会って、すっかり汚い体になってしまった。しっかり洗いすすがねば」と言い、みそぎはらいをしました。

その時に体に着けていたものから、沢山の神々が産まれました。そして、川の上流の方は流れがきついし、下流の方は流れがゆるすぎる。中ほどのあたりが良いと言って、水に潜(もぐ)って体をすすぎました。その時も沢山の神々が産まれました。最後にイザナキが左の目を洗った時に産まれたのが、アマテラス、右の目を洗った時に産まれたのがツクヨミ、次に鼻を洗った時に産まれたのがスサノオだったのです。

このようにして、スサノオは誕生しました。アマテラス(女神)はスサノオのお姉さんだったのです。
アマテラスは神々の国・高天原を治める神に、二番目の神、ツクヨミは夜の国を治めるようにイザナキは命じました。三番目の神、スサノオには海を治めるように命じたのです。

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その2「スサノオの成長」へつづく
NPO法人シャーネエ・レーテ今市

カテゴリー: 出雲神話ものたがり |

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