- その1「スサノオの誕生」
- その2「スサノオの成長」
- その3「真っ暗になった高天原」
- その4「オロチ退治」
出雲神話ものがたり 「スサノオのヤマタノオロチ退治」
スサノオのヤマタノオロチ退治神話
高天原で少しあばれ過ぎたスサノオは、天の神々から嫌われ高天原から追い出されました。そして出雲の国の簸の川のほとり、鳥髪というところに降りてきました。するとその川に箸が浮いて流れ下ってきました。
スサノオは箸が流れてきたということは、河上に人が住んでいるに違いないと思い、河の上流へ上っていくと、おじいさんとおばあさんが娘を中にして泣いていました。
スサノオは不思議に思って、おまえたちは誰か!とたずねてみますと、わたしたちはオホヤマツミの子で、私の名はアシナヅチ、妻の名はテナヅチと言い、そしてこの娘はクシナダヒメと申します。そこでおまえたちはなぜに泣いているのかとたずねますと、わたしたちには八人の娘がいましたが、毎年毎年この時期にヤマタノオロチがやってきて娘たちを食ってしまいました。今また、そのオロチがやってくる時が近ずきました。それで泣いています、と答えました。
そこでスサノオはヤマタノオロチとはどのようなオロチかと聞きますと、目はらんらんと赤く燃え、体ひとつに八つの頭をもち、また、八つの尾を持ったオロチで、背中にはヒノキやスギやコケが生えていて、長さは谷を八つ、尾根を八つも渡るほどの大きさです、と答えました。
この話を聞いてスサノオは、なんとしてもこのオロチを退治しようと思い、この娘を嫁にくれないかとおじいさんに言うと、あなたはいったいどなたさまですか?と聞きました。スサノオはおじいさんの言うことはもっともだと思い、わしはアマテラスの弟で高天原から降りてきたスサノオであると答えた。
それを聞いたアシナヅチ・テナヅチは、そんなすごい貴い神様とは知りませんでした。よろこんで娘を差し上げましょうと申し上げました。
スサノオはその娘クシナダヒメを美しい櫛に変えて自分の髪にさして隠し、アシナヅチ・テナヅチにたいして、何度も何度も作り重ねた強い酒を造りまた、垣根をめぐらして八つの門を作り、門の内側に大きな台をつくって大きなおけを置き、それに強い酒をなみなみと入れて待っているようにと申し付けました。
その通りに準備をして待っていますと、ヤマタノオロチがアシナヅチの言葉通りのすごい姿でやってきて、強い酒のにおいにさそわれて、八つの頭を八つのおけに差し入れてゴクゴクと飲み始め、ついに飲み干してしまいました。さすがのオロチも強い酒に酔っ払って寝込んでしまい、動けなくなってしまいました。
スサノオは、それを待っていて自分の腰の大きな刀をぬくと、たちまちオロチをずたずたに切りさいてしまいました。そのときに簸の川はオロチの血で赤くなってしまいました。切りきざんでいるときに尾の一つにかたいものがあり、スサノオの刀の刃がかけました。不思議に思って切りさいてみると、すばらしい名刀が出てきました。あまりの見事さにスサノオは、この刀を高天原の姉、アマテラスにわけを話して差し上げられました。後に草薙(くさなぎ)の剣(つるぎ)といわれた名刀です。
オロチを退治したスサノオは、美しい櫛に変身をさせていたクシナダヒメをもとの姿にもどし、二人で住む家を建てる場所をさがしはじめられました。あちこち歩かれた末に須賀という処に着かれたとき、この地はなんとすがすがしいところだなぁと言われ、この地に家を建てられました。その後、この地を須賀と言うようになりました。家を建てられた時まわりから雲がわきたってきたので、喜びの歌をよまれました。
八雲立つ 出雲八重垣妻ごみに
八重垣つくる その八重垣を
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- その3「真っ暗になった高天原」
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